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動きを診る ~ モンスター 井上尚弥(ボクサー)の凄さ

  • muratsubaki1002
  • 2022年6月11日
  • 読了時間: 4分

5階級制覇の実績を持ち、将来の殿堂入り間違いなしとされるノニト・ドネア選手を相手に2R TKOという結果以上にその内容、パフォーマンスに鳥肌が立ちました。


私の場合は仕事柄、どうしても「動き」そのものに目が行くわけですが、井上選手の動きは本当に見ていて興奮します。総合的にみて今最も優れたアスリートなんじゃないかと個人的には思っております。

物理学的にも人体構造的にも理想とされる動きをその競技特性に落とし込み、しかも実戦(究極のシチュエーション)で安定して表現できるその凄さ。

他の競技を見渡してもその領域のアスリートは数えるほどだと思います。

パッと思いつくのはマラソンのキプチョゲ選手とか。


井上選手の凄さを「パンチ力(パワー)」と「スピード」と語る記事を目にします。

その通りだと思います。ではそれはどうして生み出されるのか。

それは井上選手の動きが骨盤/股関節を中心に途切れることなく循環しているからです。

一言でいえば下半身の使い方が半端ない。掘り下げて言えば、地面と骨盤/股関節の間での力のやり取りでしょうか。言葉では伝えきれないほどの次元です。

私が初めてそのことに刮目させられたのは2019年にNHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で放送されたシャドーをするシーン。筆舌にしがたい動きのクオリティ。そして本人のコメント。

※ご興味ある方はこちらのサイトでhttps://www.dailymotion.com/video/x7nyohv

全て見る価値ありですが、5分秒40くらいと37分10秒くらいでシャドーシーンが見れます。


もう少し動きについて補足すると、股関節と地面をつなぐ足部の巧緻性が極めて高いという点。身体の中心から生み出した力が股関節と足部の連動により床からの反力をもらってそれを今度は骨盤から上半身に伝える。

そしてその時に骨盤と腕や肩甲骨をつなぐ広背筋(だけじゃないんですけど)をこちらも高度に連動させて拳に伝えることが出来ているのです。

見た目にも井上選手は広背筋がとても発達しています。これは先日村田諒太選手と対戦したゴロフキン選手にも共通してみられる特徴ですが、それがハードパンチやパンチの多彩さを生み出しています。

ただ、井上選手がゴロフキン選手と違うのはすでに書いた下半身の使い方が段違いで優れているという点です。

この骨盤/股関節主導で上半身と下半身(地面込み)を連動させるこのループ(循環)が私が井上選手の動きを診て鳥肌が立つ一番の理由です。


この動きの「連動」「循環」がスピードを生み出します。この「スピード」をもう少し踏み込んで書くと「コンパクト」という表現になると思います。

ステップもパンチもコンパクトに連動/連続できる点が見る者にスピード感を感じさせています。ではその「コンパクト」はどうして実現できるのか?

それは井上選手のスタンス(土台)の広さにあると思います。私的には初めて井上選手の動きを診たとき、スタンスが広いと感じました。それなのに何でこんなにスムーズに小気味よく動けるんだろうとも。一般的にスタンスが広いと安定感は出ますが動きが遅くなります。反対に狭いと動きは速くなりますが強いパンチを打つための土台になりにくいです。

井上選手の場合はその絶妙なスタンスを自身で理解し、その上で股関節と足部を巧みに連動させて重心を3次元で捌きながらステップとパンチを高速度で循環させています。

両脚と地面が作る三角形の頂点である股関節を巧みに操り、残りの2つの頂点である足部の特に踵をうまく沈ませながら、重心を沈める感じが惚れ惚れします。


またあくまでも骨盤(中心)主導なのでパンチが腕力任せにならない点もコンパクトな動きを可能にしています。腕の振りが相対的に強すぎると重心が地面から離れ(浮き)たり土台から外れたりしてしまいます。この時、先ほど説明した重心を沈めることがそれを防ぎ、しかもパンチに遠心力だったりを与えているようです。

ちなみに強い腕振り(上半身主導)で重心が土台から外れると動きの連続性は途絶えます。連続性が途絶えるとそれをまた自分のベースに戻すための余計な力も使います。そう言った無駄なロスが無い点も井上選手のパフォーマンスを高次元に引き上げていると思います。


と書き始めるとエンドレスになってしまうので今回はここまでw


「動き」を見るのは本当に面白いです。

今回は「主導」「連動」「循環/ループ」「土台」「バランス」などの視点でモンスター井上尚弥の動きを紐解きました。


ちなみにこういった視点で私はクライアントを診ています。

井上尚弥も高齢者のリハビリも若いアスリートも普通に暮らす人も基本的に同じように診ます。


井上選手については本当に参考になる点が多いので、またの機会に井上尚弥が「モンスター」足りえる大事な要素である「言葉」「メンタル」についても書いてみようと思います。


乞うご期待!w

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